拝啓、あなた様
「少し愚痴を聞いてもらっていいですか」
そう言って、彼女は主婦業のストレスを話し始めました。
聞けば、「うん、うん、そうだよねえ」と共感する内容でした。
名もなき家事をこなす妻。
それに気がつかない夫。
さらに、無神経な言葉を発したり、イライラさせられる行動をする夫。
ああ、家庭はストレスの宝庫だと叫びたくなる。
そういう家庭のストレスの話が職場のことにも及びました。
「気遣いのできる人とできない人がいる」という話です。
気遣いのできない人って、気遣いができないだけじゃなくて、他人がしてくれた親切や気遣いに気がつかないよね。
それって、名もなき家事をこなす妻の行動に、感謝しない夫みたいよねえ。
すると、彼女が言いました。
「そういう、自分のことだけを考えて生きていける人って幸せですよね」
まあねえ。
そういう愚痴も言いたくなるよね。
さて、伊坂幸太郎さんの小説に、こういう言葉があります。
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明るい性格です、
と自称する人間が
えてして 他者を巻き込まなくては
人生を楽しめない
(「AX アックス」より)
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この言葉をふと思い出したわたしは一言、言いました。
「でもね、そういう人の幸せって、誰かの不幸の上に成り立っているのかも」
それを聞いた彼女が、「いい言葉ですね!」と感激してくれました。
「それ、夫に言ってみます」と。
そして「愚痴を聞いてもらってよかったです。楽になりました」と言ってくれました。
彼女より主婦歴が長いわたし。
主婦業の先輩として、少しはお役に立てたのであればうれしいです。
かしこ
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