拝啓、あなた様
近所に新しくアパートが建ったのです。
そのアパ―トを建築したハウスメーカーさんにより、見学会が行われていました。
ここ半年ほど、この建物が建つ経過をずっと見てきました。
ついに完成となったので、外観だけでなく、中も見せていただけるのであれば、見せてもらいたいと思って、行ってきました。
さすが新築。
新築の香りがします。
へえっ、こういう間取りなのですね。
おそらく、ここはこういう風に使うのだろうな、こっちは子供さんの部屋かしら。
などと想像を膨らませながら、見学させてもらいました。
一緒にまわってくれた20代くらいの若い営業マンさんに尋ねられました。
「この町に長くお住まいなんですか？」
「ええ。でも出身は大阪ではないですけど」
そう言うと「やっぱり」という返事が返ってきました。
「あら、わかりますか？」
「はい、言葉がちょっと」
あははは。
そうですよねえ。
わたしが使う大阪弁は、おかしいですものねえ。
大阪弁を真似してるって感じがするでしょ。
そう言うと、若い営業マンさんは苦笑いしていました。
すると、その彼が言うのです。
「僕は大阪出身なんですけど、学生時代は広島に住んでいました」と。
「あら、わたしは岡山出身なんですよ。岡山と広島は近いですよね」
そうなると、彼はもっと、この話題に乗ってきました。
「広島と言っても僕は尾道だったんです」
「だったら、ずいぶんと岡山寄りですね」
「そうなんですよ」
という話から、なぜ、彼は尾道を選んだかという話までしてくれました。
彼の学生時代の話で盛り上がっていきます。
尾道の町自慢の話も聞かせてくれました。
ここまで来ると、わたしって人の話を聞きだすのがうまい？
わたしの方が営業マン向きかしら？
などと、とんでもないことを考えてしまいました。
でも、人との出会いって面白いなあと思いましたね。
かしこ
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