拝啓、あなた様
6月10日は時の記念日ですね。
幼少の頃、わたしはそういう日があることすら知りませんでした。
ところが、小学3年生の時のことです。
女の子が転校してきました。
その子が「わたしの誕生日は時の記念日です」と言ったのです。
その言葉がすごく印象的でした。
世の中には、いろいろな記念日があるけれど「時」の記念日があるなんて。
その記念日は、とてもカッコいいものに思えました。
さらに、それが誕生日だなんて素敵だわ。
わたしが知らない、カッコいい記念日を、さらりと自分の誕生日だと自己紹介する女の子が、とてもおしゃれに見えました。
「時の記念日」って何?
それはいつ?
その日から、わたしは「時の記念日」が忘れられなくて。
6月10日になると、その転校生の女の子のことを思い出します。
その女の子は、数年後にはまた転校して行ってしまい、同じ小学校を卒業することはできませんでした。
そのため、今はどこでどのように暮らしているのか全くわかりません。
あれから数十年が経過しました。
時間の経過とともに薄れる記憶、消える思い出もあるけれど、いつまでも残る記念日のおかげで、彼女はわたしの中にずっと存在しています。
かしこ
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