テガミスト*Diary <紙飛行機ドットコム>

手紙好きの、自称*テガミストが書く『手紙のふりをした日記』です

夕暮れのうろこ雲

拝啓、あなた様

仕事帰りのことです。
ビルが立ち並ぶ道を歩いていると、後ろから女の子の声が聞こえてきました。
「わあっ、きれーい!」

お母さんらしき女性の声も続きます。
「ホント!きれいねえ」

さらに女の子がうれしそうに言います。
「絵本みたい!」

えっ、何、何? どこを見て言ってるの?
気になってキョロキョロしましたが、特別な風景が見当たりません。
わたしがモタモタしていると、その親子がわたしを追い抜いて、わたしより前を歩くようになりました。
そこには、女の子が「きれい」と言いながら、指さしている姿がありました。
その姿につられて、その方向にわたしも目を向けました。

ああ、ほんとキレイ。
空が波を打っているかのようなうろこ雲。
秋の空だわあ。

教えてくれてありがとうね。
あなたのおかげで絵本みたいにキレイな空を見ることができました。
今度、どんな絵本を読んだのか教えてね。

そんなことを心の中でつぶやきました。

          かしこ

 

 

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