拝啓、あなた様
あっ、もしかしてこれが「話され上手さん」なのかも。
そう思えるできごとがありました。
少し前に「はい、総務部クリニック課です」という藤山素心さんの本を読みました。
この話の中で、クリニックの受付をしていた女性が問診係になる場面があります。
この女性は、話してもいいかな、と思える雰囲気を出しているからです。
聞き上手でもない、話し上手でもない。
「話され上手」という言葉は初めて知りましたが、いい言葉だなあと思いました。
先日のことです。
数年ぶりに会った知人に「お変わりないですか？」と聞きました。
すると「ええ、変わりないです」と一旦は言ったものの、「ああ、でも実はちょっと大変なこともありました」と苦笑いをされました。
「えっ？」
「家族や職場の人以外にはあまり話してないことなんですけどね」
そう言いながら話してくれたことは、本当に大変なことでした。
ともすれば、暗くなりがちな話でしたが、わたしが話を少し脱線させながらも会話は進み、その方は明るい表情でその大変さを吐露してくださいました。
気がつけば数時間が経過していて、「あらもうこんな時間」とびっくりです。
「おもしろかったので、つい時間が経つのを忘れてしまいました」
そう言って、その方は帰り支度を始めました。
わたしには話していいかなと思ってくれたのかもしれません。
そして、時間の経過を忘れるほどに話すことがおもしろくなって、不安が和らいだのなら少しはお役に立てたかもしれません。
「話され上手さん」になれていたとしたら、いいのだけれど。
かしこ
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