拝啓、あなた様
高熱が出ました。体がだるい上に思考能力がありません。何もしたくないし、何も考えたくないです。そんな体調の日に、その訃報は届きました。
突然の訃報に心の整理ができませんでした。現実から逃避したい。思考を停止したい。こみあげる涙で心が壊れそうです。どうして、こんな体調の悪い日に悲しい知らせが届くのでしょう。ダブルパンチにますます混乱しました。
ひとまず解熱剤を飲んで横になろう。落ち着け、落ち着け。そう言い聞かせて思考を止めました。薬が効いてきたのか、いつの間にか深い眠りに落ちました。
目が覚めたとき、まだ微熱が残っていました。体も脳の動きもゆるやかだったためか、昨夜とは違う思考になっていました。もしかしたら、これは、不幸の重なりではないのかもしれない。体調が平常であれば、わたしはもっと取り乱していたでしょう。熱のせいで、体も脳も思うように動かないからこそ、静かに受け入れることができたのかもしれないと。
人を楽しませたり、驚かせたりするのがお得意だったその方は、贈り物のタイミングが上手でした。メッセージも、いつも絶妙のタイミングで送ってくださっていました。ご家族から届いたその方の最期の知らせも、まるでわたしの体調が悪いこのタイミングを見計らってくれたかのようです。
でもまさか、こんなに驚かされることがあるとは思いませんでした。わたしの驚きの涙を空の上からご覧になってニヤリとしていらっしゃるでしょうか。
合掌。
かしこ
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